地籍調査とは、土地の基礎調査のことです。
調査は、一筆ごとの土地について、 1 . 地番、地目、境界の調査、 2 . 登記簿に記載された所有者に関する確認、 3 . 土地所有者の立ち会いを求め、境界の確認・境界標の設置・測量及び面積の測定を行います。
この調査結果から地図や登記簿(現在は登記情報)が作成されます。作成される地図を地籍図、簿冊を地籍簿といいます。
地籍図により、土地の一筆ごとの境界が図中の基準点に基づき正確に測量できるようになるため、災害等で土地の境界が不明になっても境界を復元することができます。
また、地籍簿には一筆ごとの土地の所在、地番、地目、面積、所有者が記載されます。この地籍図や地籍簿は、その写しが登記所に送付され、登記所はこれに基づいて登記簿の表題部の記載を改めます。

地籍調査の効果
●災害の復旧に役立ちます
地震、土砂崩れ、水害等の災害が起きてしまった場合、地籍調査が行われていれば、個々の土地が地球上の座標値(世界測地系データ)で表示されているため、元の位置(境界標)を正確に復元することができ、復旧作業が円滑に進められます。

●まちづくりに役立ちます
市町村の都市計画(まちづくり案・むらおこし等の計画)を立案する際に、地籍調査の成果を利用することにより、いろいろな計画図の作成が容易になるとともに、住民の皆さんにも分かりやすいきめ細かな計画立案が可能となります。

●お隣同士境界線のトラブル防止
現在、法務局に備えられている地図(字限図)や登記簿等は、明治時代に作られたものを基礎としています。現況の土地と比べて、面積や形状が正しくない箇所が多く見られます。これでは、当時の地図と現況とが合っていなく、隣接する土地とも接合しません。このため、土地に関する資料として、公図や登記簿を整備するための地籍調査を行うことがどうしても必要です。境界及び面積の調査により正確な地籍図が出来るほか、地籍図の境界復元能力によって将来の境界紛争も少なくなると考えられ、土地の所有権が確実に保護されます。

●取引での境界・面積等のトラブル防止と土地取引の円滑化に役立ちます
正確な土地の状況が登記簿に反映され、登記制度の信頼性が向上するとともに、安心して土地取引ができるため、経済活動全体の円滑化・活性化につながります。

地籍調査の作業工程

●A工程  地籍調査の事業計画の策定及び事務手続き

●B工程  地籍調査事業着手のための準備A、B工程(計画・準備)では、地籍調査の実施計画及び作業規程を作成し、都道府県知事に届け出るとともに、地籍調査の実施に関する公示を行います。また、地籍調査の実施にあたり、調査体制の確立、実施地域の事前調査、住民等への説明等必要な準備を行います。

●C工程  地籍図根三角の設置作業C工程(地籍図根三角測量) では、図根多角測量の基礎になる基準点(図根三角点)の設置を行います。  都市3点/k㎡ 農耕地2点/k㎡ 山林1点/k㎡

●D工程  地籍図根多角点の設置作業D工程(地籍図根多角測量) では、国家三角点及び図根三角点を基に図根多角点の設置を行います。

●E工程  一筆地調査E工程(一筆地調査)では、一筆ごとの土地について、所有者、所在、地番、地目及び境界を調べる工程です。 特に境界の調査では、所有者の立会いのもと、一筆ごとに境界杭が打たれます。

●F工程  地籍細部測量F工程(地籍細部測量)は、一筆地調査によって確認された筆界杭について、国家三角点や、C、D工程で設置した基準点を基に測量し、正確な座標値を求める工程です。

●G工程  地積測定G工程(地積測定)は、地籍測量の結果に基づいて、毎筆の土地の面積を測定する工程です。
●H工程  地籍図及び地籍簿の作成H工程(地籍図及び地籍簿の作成) は、一筆地調査、地籍測量及び地積測定の結果について、図面及び簿冊に取りまとめる工程です。

千葉県の地籍調査について(千葉県県土整備部用地課ホームページにジャンプします)

日本の地籍関連年表
645年 大化の改新
1582~1598年 秀吉の太閤検地
1564、1589、1590、1649、1661~1672、1673~1680年 江戸時代
1800~1821年 伊能地図
明治6(1873)年 地租改正布告
明治6(1873)~明治10(1877)年、明治8(1875)~14(1881)年 地押調査・・費用6620万円(国費3720万円その他市町村負担 当時の租税収入6000万円)
明治8(1875)年 関東八州大三角測量開始
明治9(1876)年 内務省第1回年報「量地及び地籍ノ概要」
明治11(1878)年 全国三角測量に発展
明治13~明治23年 地籍編成事業(官民包括地図作成)
明治18(1885)年 地押更正調査(全体の1/3を更正した。結果4500K㎡増歩した、実施した県→山口県、福岡県、大分県、岡山県、岐阜県等)
明治19(1886)年 登記法制定
明治22(1889)年 地券制度廃止 土地台帳法制定 税務署で土地台帳及び附属地図を管理
明治32(1899)年 不動産登記法 ・・17条地図の備付公示
昭和25(1950)年 土地台帳及び付属地図は登記所で管理するようになった
昭和25(1950)年 土地家屋調査士法制定
昭和26(1951)年 国土調査法制定
昭和38(1963)年 第1次国土調査事業10箇年計画
昭和45(1970)年 第2次国土調査事業10箇年計画
昭和55(1980)年 第3次国土調査事業10箇年計画
平成2(1990)年 第4次国土調査事業10箇年計画
平成12(2000)年 第5次国土調査事業10箇年計画
平成22(2010)年 第6次国土調査事業10箇年計画
令和2(2020)年 第7次国土調査事業10箇年計画